国土交通省の元事務次官だった本田勝氏が、空港施設株式会社という会社の社長人事をめぐって圧力をかけたとし、不祥事として注目を集めている。
本田勝氏は、現在東京メトロの会長を務める。これまでの経歴は非の打ちどころがないほど輝かしい経歴だ。そんな人物が、なぜこのような不祥事を起こしたのか。彼の経歴からたどってみたい。
本田勝の経歴がすごすぎる!
本田勝氏は1953年生まれ。岐阜高校を卒業後、東大法学部に進んでいる。その後運輸省に入省している。ここで着目すべきは、彼の職歴だ。
2001年7月 国土交通省総合政策局観光部企画課長
wikipediaより抜粋
航空局監理部総務課長
2003年7月 大臣官房総務課長
2004年7月1日 航空局飛行場部長
2005年8月2日 航空局次長
2007年7月10日 自動車交通局長
2009年7月24日 鉄道局長
2010年8月10日 航空局長
2011年9月16日 大臣官房長
2012年9月10日 国土交通審議官(運輸担当)
2014年7月8日 国土交通事務次官
2015年 株式会社損保ジャパン日本興亜顧問
2017年1月5日 一般社団法人ドローン操縦士協会理事
2019年6月27日 東京地下鉄代表取締役会長
省庁再編で運輸省が国土交通省に変わってから、要職を勤め上げているが、面白いことに、運輸省系の官僚が事務次官になる場合は、ほぼ全員同じ職歴を辿るのだ。
事務次官自体は、出身派閥(旧建設省系、旧運輸省系)に配慮され、また文官か技官ということも踏まえて順番に選出される。そのため、全員が事務次官になれるわけではないが、いわゆる運輸系の超エリートコースが、この職歴になるのだ。
もっと言えば、本田勝がこの花形出世コースを形作っていったと言っても過言ではない。だからこそ、彼は国土交通省の中でいまだに発言力を持つ。
影響を持ちすぎたが故の驕りが不祥事の根本原因
多くの組織で「OBが発言権を持つ」という事象は散見される。もちろん道を切り開いてきた先人の意見は尊重すべき点も多い。しかし、時代の移り変わりが激しい昨今、そうしたOBの影響力は通常弱まってきている。
にもかかわらず、役所という場所は、OBの発言権が未だに強い。本田勝氏のように、現役時代に多大な功績を残した人物であれば尚更だ。
これは、役所自体が時代の変化に追いつかず、いつまでも旧態依然としているからこそ、OBの影響力が弱まらないのだ。
まさしく今回の民間企業人事への圧力など、時代遅れも甚だしい。逆に言えば、このようなOBがいるからこそ、現役世代が変革を起こせない可能性もあるのだろう。
役所がこれを機にどう変わっていくか、見ものである。
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